誰かに追いかけられる夢、苦手なものがたくさん出てくる夢など、悪夢と呼ばれるような夢にはさまざまなものがあります。
精神医学では目が覚めてしまうほど恐ろしい夢を「悪夢」と表現し、多くはレム睡眠時に見る夢のことを指しています。
メンタルの不調を訴える人のなかには悪夢に悩まされている人も多いそうです。
今回は悪夢の原因について、精神医学の観点から解説しましょう。
悪夢の特徴は?受診する必要はある?
一般的に、悪夢とは嫌な気持ちになったり、恐怖・怒り・不安・羞恥・悲しみなどの感情が沸き上がったりする夢のことをいいます。
精神医学では、レム睡眠中に見る夢であり、動悸や発汗などを引き起こし、目覚めた時にも内容や気分の悪さを覚えているような夢を典型的な「悪夢」と位置付けています。
悪夢を見る人のなかには、体が動いたり、大きな声を出したりする人も少なくありません。
頻繁に悪夢を見ると十分な睡眠が取れなくなり、日常生活に支障が出る場合もあります。
集中力が低下する、食欲が振るわない、気分が落ち込むなどの症状がある時はメンタルクリニック等を受診しましょう。
悪夢の原因は?思わぬ病気が隠れていることも
悪夢の原因として、次のようなものが考えられるでしょう。
・ストレス、不安感
仕事や家庭で大きなストレスを抱えていたり、社会や未来に漠然とした不安感を持っていたりすると悪夢を見やすいといわれています。
精神医学では夢が過去の記憶の断片であると考えられ、夢に出てくる現象は過去に経験したことがモチーフになっている可能性が高いです。
ストレスが多ければ、それだけ関連する嫌な記憶や気持ちが夢となって現れることが多くなります。
・トラウマによるPTSDの可能性
生命や心身を脅かすほどの体験がトラウマとなり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したことがきっかけで悪夢を見るようになったという人も多いです。
しかし、悪夢を見ることでトラウマを克服できるという見解があり、PTSD患者にあえて悪夢を見させる研究も続けられています。
・精神疾患
うつ病をはじめとする精神疾患では、悪夢を見るという症状も珍しくありません。
そのほか、心臓病やがんなどの身体的疾患でも悪夢を見ることが報告されています。
悪夢を見ることはメンタルの健康のために必要な脳の機能ともいわれています。
しかし、頻繁に悪夢を見ることで不眠や睡眠不足に悩まされる人も多いです。
疲れが取れない、悪夢を見るのが怖くて眠れないという場合は、心療内科などに相談してみましょう。